ストーリーでつながる、銀行系地方創生メディア

bank baton

STORY 10 | 地域とコト

開港450周年を迎えた長崎で、新たな交流拠点を
創り上げるストーリー

西九州新幹線が開業する駅と直結、本格的コンベンション施設「出島メッセ長崎」。

鎖国中も外国船が来航していた長崎の港が開港したのは、ポルトガルからの貿易船が初めて入ってきた室町時代末期の1571年のこと。それ以来長きにわたり、交易の要所として多様な歴史と文化を生み出してきた長崎に、開港450年となる2021年、「現代の出島」を旗印とした新たな交流の要衝、出島メッセ長崎が誕生しました。

2021年11月1日に出島メッセ長崎、ヒルトン長崎がオープン。今後の計画では、2022年秋にはの西九州新幹線(長崎〜武雄温泉間)開業予定。に合わせて、出島メッセ長崎、ヒルトン長崎がオープン。その後、2023年春秋には長崎駅ビルも完成予定
2021年11月1日に出島メッセ長崎、ヒルトン長崎がオープン。今後の計画では、2022年秋に西九州新幹線(長崎〜武雄温泉間)開業予定。その後、2023年秋には長崎駅ビル完成予定

長崎市役所の文化観光部で出島メッセ長崎のプロジェクトに関わってきた牧島政策監は、この新施設について次のように説明します。「コンセプトは『新しいDEJIMAの創出』。従来の観光客だけにとどまらない、さまざまなお客様を世界中から広く迎えられる都市をめざし、県内初となる本格的なMICE施設をつくりました」。
長崎市といえばすでに全国有数の観光地ですが、確かに出島に象徴される通り、もともと産業や文化の交流拠点でもありました。「だからこそ現代の長崎も、より幅広い交流によって新たな産業を生み出し、未来に向けて定着させていきたいと考えています」と牧島さん。

こけら落としの成功を喜ぶ出島メッセ長崎の鹿尾館長、長崎市役所 文化観光部の牧島政策監、長崎国際観光コンベンション協会 地域開発事業推進部の古賀部長(左から)
こけら落としの成功を喜ぶ出島メッセ長崎の鹿尾館長、長崎市役所 文化観光部の牧島政策監、
長崎国際観光コンベンション協会 地域開発事業推進部の古賀部長(左から)

さらに、この長崎市の新たなビジョンの確立と時を同じくしてJR長崎駅周辺の再開発もスタート。ダイナミックな区画整理や建設用地の確保など、複数の企業と協力しながら進めていきました。 「駅前という絶好の場所に出島メッセ長崎が誕生したことは、MICE誘致の大きな強みになっている」と話すのは、長崎国際観光コンベンション協会 地域開発事業推進部の古賀部長。 これまでも、学会やイベント、展示会、国際会議など、さまざまなMICE誘致に携わってきました。長崎市がめざしているのは「選ばれる21世紀の交流都市」 長崎。そのため、出島メッセ長崎で開催される会議やイベントの前後の飲食や観光面も磨き上げるべく、市内の事業者の方々と共に新商品や新企画の提案にも注力しているとのこと。 「メイン会場の“外”に焦点を当てて参加者の楽しみ方の発掘、磨き上げ、そして主催者・参加者へのご案内を行い、市内への回遊性を高めて、MICE開催の効果を最大限にしていきたいですね」と、古賀さんも新施設に期待を込めます。

2021年11月1日に開業した出島メッセ長崎外観
2021年11月1日に開業した出島メッセ長崎外観

2021年11月1日に開業した出島メッセ長崎ですが、起工式が行われ2019年から、長崎市ではある下準備が進められていました。それはFFG(ふくおかフィナンシャルグループ)が市と一緒になって開催した「長崎MICEスクール」。さまざまな地元企業がMICEをビジネスに活用していくためのノウハウを学ぶプロジェクトです。 長崎を活性化すると共に、民間の事業者にも「交流の産業化」の一躍を担ってもらいたいという思いから、合計11回の勉強会を開講。ホテル、タクシー会社、仕出し業などスクールに参加した74社の顔ぶれは多岐にわたります。
「MICEって何?という講義に始まり、長崎の魅力を伝えるには?自社サービスをどう結びつける?といった実践的なセミナーなどを開催しました。MICEビジネス活用の基本は共有できたと思います」と、長崎MICEスクールにも携わった牧島さんは手応えを感じています。
事実、多数の事業者が施設オープンと同時に協力業社として名を連ね、官民連携の好スタートとなりました。

長崎MICEスクールのワンシーン
長崎MICEスクールのワンシーン

MICE業界の第一人者が期待する長崎のポテンシャル

出島メッセ長崎の館長を務めるのは、指定管理者の株式会社ながさきMICEで施設の運営や管理の指揮を取る鹿尾(しかお)正博さん。「歴史的にも文化的にも特徴のある都市で館長を務めることに大きな期待と責任を感じつつも、 長崎ならではのいろんなMICEを実現したいとワクワクしています」。 そう話す鹿尾さんは、全国約90か所の施設運営と各種コンベンションの実施などを手掛けるMICEの先進企業、株式会社コングレで、コンベンションの企画・運営に長年携わってきたMICEのプロフェッショナルです。

2021年11月1日に行われた開業記念式典の様子
2021年11月1日に行われた開業記念式典の様子

「出島メッセ長崎は国際ブランドのホテルやJRの駅に隣接し、さらに国際港からも近く観光スポットにも恵まれた絶好のロケーション。国内はもちろん、海外へも積極的に発信することで、長崎と出島メッセ長崎のブランド力・知名度を大きく伸ばせるでしょう」。 そう意気込む鹿尾館長によると、初年度の目標は、来場者数61万人、経済波及効果114億円とのこと。 また、人数や金額では測れない価値にも注目しており、「例えば2015年に長崎で開催されたパグウォッシュ会議のように、この地ならではの意義あるイベントも積極的に誘致したいと考えています」と、長崎でのMICE開催が持つ大きな可能性を示してくれました。

館長の鹿尾さんをはじめ、牧島さんや古賀さんも一つの目標地点として目指してきたのが、11月12日〜14日の3日間にわたって開催された、こけら落としイベント「長崎MICE EXPO」です。 長崎市民へのお披露目を兼ねたまちづくりイベントで、3日間で延べ15,000人が来場し賑わいました。

「長崎MICE EXPO」の様子(オープニングセレモニーでのテープカット)
「長崎MICE EXPO」の様子(オープニングセレモニーでのテープカット)

1日目は、FFGグループの十八親和銀行とFFGの主催で「長崎ビジネス商談会 in 出島メッセ長崎」を開催。 地元企業向けの各種商談コーナーをはじめ、特別講演会、展示コーナーなど、MICEをフックにしたビジネスチャンス拡大のヒントとなるプログラムを用意しました。2日目と3日目は全館を使って市民向けにさまざまな催しを展開。 マルシェやお仕事体験、学生応援企画にeスポーツ体験、子ども向けドローンプログラミング講座など、あらゆる世代が楽しめる内容で、大盛況のうちに幕を閉じました。

「長崎MICE EXPO」の様子(1日目/ビジネス商談会)
「長崎MICE EXPO」の様子(1日目/ビジネス商談会)
「長崎MICE EXPO」の様子(2・3日目/子供の職場体験)
「長崎MICE EXPO」の様子(2・3日目/子供の職場体験)

鹿尾館長は「予想以上に市民・県民の方々に広く認知されて、多くの若い世代にも足を運んでもらえたことで、出島メッセ長崎の未来に手応えを感じることができました」とこけら落としの3日間を振り返ります。 また古賀さんは「まだ事業者によって温度差があるので、今回のEXPOをはじめ、日々行われる会議や催しについてもコンベンション協会からこまめに情報発信し、多くの方にビジネスチャンスを感じてもらいたい」とさらに意欲を増強。 そして牧島さんも、「市民と企業と行政、オール長崎で幕を開けられ、本当に嬉しかったですね。これからが本番!ブラッシュアップを継続していきます」と決意を新たにしていました。

長崎の子どもたちと触れ合うFFGマスコットキャラクター「ユーモ」
長崎の子どもたちと触れ合うFFGマスコットキャラクター「ユーモ」

長崎経済に対する十八親和銀行地域振興部の思い

FFGの一員である十八親和銀行は、長崎の地に誕生してから長年に亘って、地域経済と共に歩んできました。
長崎の街並みや地域の産業構造などは時代と共に変化していく中で、地域経済に対する十八親和銀行の熱い思いは不変的なものです。

長崎開港450年を迎える2021年という記念すべきタイミングで、長崎市が官民一体となって歩み始めた、新たなMICEビジネス。 FFGは、このまちで長年信頼関係を築いてきた十八親和銀行を中心に、伴走者の立場からさまざまなサポートを行っています。 銀行としての支援はもちろん、長崎MICEスクールや長崎MICE EXPOといった、新しいつながりや機会を生み出す場を通じて長崎でのMICE開催を盛り上げ、 今後も交流の産業化を推し進めるお手伝いをしていきたいと考えています。 そして地域を多角的な視点から応援することで、FFGとしても地方創生の取り組みを進めてまいります。