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STORY 07 | 地域とヒト

福岡にある地域の魅力を“ワンチーム”でつなげていきたい
~福岡地域おこし協力隊の思い~

 2021年4月17日土曜日。福岡銀行本店広場で、福岡県内の地域産品などを集めたマーケットが開かれました。企画したのは、香春町の地域おこし協力隊メンバーの村上夕子さんが部長を務める「福岡県地域おこし協力隊新聞部」の方々。

主催の「福岡県地域おこし協力隊新聞部」の皆さん。それぞれ、太刀洗町、香春町、筑後市、うきは市、小竹町、赤村で活動しています
主催の「福岡県地域おこし協力隊新聞部」の皆さん。それぞれ、太刀洗町、香春町、筑後市、うきは市、小竹町、赤村で活動しています

この新聞部では、福岡県内で活躍する地域おこし協力隊員に向けた「つながりタイ新聞」を定期的に発行しています。今回のマーケットは、そんな新聞部が企画した初のイベント「つながりたいマーケット」。11市町村の隊員や地域事業者が参加しての開催に至りました。

福岡銀行本店広場で開催された「つながりたいマーケット」の様子
福岡銀行本店広場で開催された「つながりたいマーケット」の様子

それぞれ異なる地域で活動する新聞部がなぜこのイベントを企画したのでしょうか?その思いを、部長の村上さんに伺ってみました。
福岡県出身の村上さんは、イギリスでテキスタイルデザインを学び、東京の有名アパレルブランドに就職。テキスタイルデザイナーとして10年間務めた後、帰郷とともに自然溢れる地元で植物染めをはじめました。その後、仕事で訪れていた香春町役場で地域おこし協力隊の担当をしていた坪根さんから、次期協力隊員募集の話を聞き一念発起でエントリー。無事採用が決まり2018年から活動を始めました。

植物染め商品づくりと地域おこし協力隊員のほか、植物染めの講師、グラフィックデザイナーなど幅広く活躍する村上さん
植物染め商品づくりと地域おこし協力隊員のほか、植物染めの講師、グラフィックデザイナーなど幅広く活躍する村上さん
「この町の地域おこし協力隊立ち上げ当初から関わっているので人一倍思い入れが深い」と話す香春町まちづくり課の坪根健さん
「この町の地域おこし協力隊立ち上げ当初から関わっているので人一倍思い入れが深い」と話す香春町まちづくり課の坪根健さん

「地域おこし協力隊としての活動と並行しながらの新聞部の活動は大変でしたが、その分メンバー間の絆は深まりました」と村上さん。今回のイベントも、日頃から仲間内で話題になっていた販路拡大の思いがきっかけとのこと。「地元の人にモノを売るだけではビジネスとして成立しづらく、“地域のいい物”をもっと多くの方に広げたいという隊員共通の思いが発端でした」。

村上さんの植物染め。渋柿をはじめ香春町のさまざまな植物が染料に
村上さんの植物染め
キャプション村上さんの植物染め。渋柿をはじめ香春町のさまざまな植物が染料に
渋柿をはじめ香春町のさまざまな植物が染料に

村上さんは各地の協力隊員の声を聞きながら思いを具体化していきます。「福岡の中心部で地域産品の物販の機会があればいいなと考え、福岡県職員の来山さんや福岡銀行地域共創部のご協力を得て、天神でマーケットを開催出来ました」。
当日は朝から雨模様でしたが、開始と同時に空が明るくなり晴天下で開催。村上さん考案の地域資源を活用した作品をはじめ、新鮮野菜、加工品など色とりどりの商品が並び、終日多くの買い物客で賑わっていました。

マーケット会場で自分の作品を説明する村上さん
マーケット会場で自分の作品を説明する村上さん
パンの個別包装を減らしたいと考案した柿渋染めの「パンヤノバック」(2020年よかとこビジネスプランコンテスト入賞)
パンの個別包装を減らしたいと考案した柿渋染めの「パンヤノバック」(2020年よかとこビジネスプランコンテスト入賞)

隊員としての任期満了を目前に控え「このイベントをきっかけに、地域の魅力を発信することはもちろん、地域で活動する人々との連携や、福岡銀行さんなどの地元企業との連携も出来ればと思っています。卒業後もビジネスとして続けられる環境を整えられれば」と語る村上さん。すでに次のステップとして、新たな販路開拓や最近話題のクラウドファンディングもしていきたいと教えてくれました。

地域を元気にしていくヒトを応援したい。~福岡県職員の来山さんの思い~

村上さんら新聞部の活動をサポートしてきたのが、福岡県広域地域振興課の来山嘉孝さんです。35市町村で約120人の隊員が活動している福岡県。県として、隊員への情報提供や隊員同士のつながりづくりを支援する役割を担っています。

つながりたいマーケット当日も裏方として汗を流していた来山さん
つながりたいマーケット当日も裏方として汗を流していた来山さん

「活動中の悩みや退任後の不安など、隊員ならではの不安や悩みがたくさんあります。そういった悩みを解決するため、県では、研修や交流会を開催し、市町村を超えた隊員同士の情報交換に取組んでいます。」地域を超えた隊員・元隊員同士がつながることで、悩みやノウハウが共有され、地域をさらに活性化してくれると考えているそうです。

地域おこし協力隊自治体担当者向け勉強会の様子
地域おこし協力隊自治体担当者向け勉強会の様子
地域おこし協力隊自治体担当者向け勉強会の様子

「村上さんから今回のようなマーケットを開催したいと相談をもらったとき、隊員の想いや要望をきちんと汲み取ってくれる企業様をご紹介できればと考えました。」そこで来山さんは、以前から地域の活性化等に力を入れて取り組んでいる福岡銀行地域共創部に相談。今回の主催者である新聞部との橋渡しとなり、マーケットを開催することになりました。

イベント当日、新聞部メンバーと共に出店者をまわり、話を伺っている様子
イベント当日、新聞部メンバーと共に出店者をまわり、話を伺っている様子

「起業やものづくりを志す隊員に対して、企業とのつながりづくりのきっかけを作ることも大切なサポートだと、今回のマーケットを通して実感しました。」と来山さん。「協力隊を卒業した後も、地域の方や現役隊員とのつながりを持ち続けて、地域の活力源になってくれることが理想ですね」と話していました。

地域それぞれの個性で未来をバトンのように繋いでいく。~福岡銀行地域共創部の思い~

都会を離れ地方で暮らしながら地域社会に貢献したい、自然と共存しながら自分で作物を育ててみたいなど、移住・定住の入り口の一つになっている地域おこし協力隊。活動内容は自治体によって異なりますが、任期は最大3年と決まっています。
来山さんによると、福岡県では、協力隊卒業後も定住する隊員の割合は、全国平均より高いとのこと。地方移住の社会的関心が高まりつつあり、隊員の活動はメディアにも多く取り上げられています。
移住が定住に繋がっていくためには、地域で持続的に生活できる仕事を作ることも重要となってきます。

地域事業者が集まる機会が増えれば新しい化学反応が次々と生まれます。今回のイベントは新しいお客様との繋がりや隊員、地域事業主ら横のつながりを作るきっかけになったようです。
また、クラウドファンディングなどのオンラインでのテストマーケティングの支援や、銀行のお取引先とのマッチングなど、銀行としての強みを生かした支援によってビジネス化に繋がることで、地域活性化に繋がっていく期待は今後も高まりそうです。

福岡銀行は融資などで起業支援はもちろん、今回のような地域の課題解決に向けた取組みを自治体様や大学・企業様と連携して推進してまいります。

イベント当日の出店商品イメージ(一部抜粋)