アジャイル型の地方銀行DXとは

特別インタビュー「アジャイル型の地方銀行DXとは」

特別インタビュー「アジャイル型の地方銀行DXとは」 特別インタビュー「アジャイル型の地方銀行DXとは」
内製化を加速しDXを推進。福岡から「あなたのいちばんに。」
私たちふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)は、「長期ビジョン2030」を実現するため、デジタル活用に力を入れています。その中核を担うのがDX推進本部です。
以前から取り組んでいるお客さま起点のアジャイル的アプローチを加速するため、エンジニア組織の内製化を進める同本部が何を考え、どこに向かおうとしているか、銀行DXの現場で活躍する2名のインタビューをお届けします。(取材・人物撮影:BIZREACH)
お客さまのニーズを軸に、アジャイル的アプローチで新しい価値を提供
執行役員 DX推進本部 本部長/藤井 雅博 執行役員 DX推進本部 本部長/藤井 雅博
執行役員 DX推進本部 本部長/
藤井 雅博
──はじめに、FFGがDX を推進する理由やその特色について教えてください。
FFGは福岡県、熊本県、長崎県を中心とした九州全域にネットワークを有する地域金融グループです。地域金融機関の使命は、地域課題を発見し、解決することです。それにより地域が発展し、私たちFFGの成長にもつながっていきます。

私たちは「長期ビジョン 2030」で、「ファイナンスとコンサルティングを通じて全てのステークホルダーの成長に貢献するザ・ベスト リージョナルバンク」を掲げました。このビジョンを実現するためにはデジタルの力が必要ですが、私は常々「DXはX(トランスフォーメーション)こそが大切である」と考えています。
例えば、単純な事務作業をデジタルに置き換え、行員がお客さまとのコミュニケーションにより注力できるようにする。各自が持っているノウハウをデジタルで共有し、人財育成に役立てる。このように、「人」が活躍するための手段としてデジタルを活用しようとしています。

「お客さま起点」であることを常に重視してきたFFGでは、2017年からアジャイル的なアプローチを実践してきました。デジタル技術の進展に伴ってお客さまの行動や社会構造が大きく変化するなか、短いサイクルでお客さまの意見をスピーディーにプロダクトに落とし込む、その実現のためには開発体制の内製化を図る必要があります。

FFGがDXを推進するうえで、当本部が担う役割は大きく2つです。一つは、各部署でバラバラに立ち上がったプロダクトに横串を刺して全体最適化を促し、一つのストーリーにしていくこと。もう一つは、アジャイル的なアプローチを組織に浸透させることです。DXの「X」を実現するために、組織を変革する大きなチャレンジをしています。
2023年7月にリリースした個人向け銀行アプリ 2023年7月にリリースした個人向け銀行アプリ
2023年7月にリリースした個人向け
銀行アプリ
──FFGのDX推進に向けて、これまでどういった取り組みをされてきたのでしょうか。
FFGでは2016年にiBankマーケティングという企業内ベンチャーを設立し、新しい金融サービスを提供するスマートフォンアプリ「Wallet+」をリリースしました。2017年にはデジタル戦略部を立ち上げ、サービス開発の内製化に向け、アジャイル開発手法を取り入れました。ただ、このときは取り組みが部分的になりがちだったため、FFG全体では主要となるデジタルチャネルやインターネットバンキングの整備が遅れていました。
そこを再構築しようということで、2022年4月にDX推進本部を立ち上げ、グループの核である銀行業務のDXを推進し、全社に展開したいと考えています。具体的には、個人のインターネットバンキングをバンキングアプリに置き換えたり、これまでなかった事業者さまのデジタルチャネルを事業者向けポータル「BIZSHIP」として開発・提供したりしてきました。さらに、それと並行して行員の営業支援システムを再構築し、個人向け銀行アプリ・事業者向けポータル・営業支援システムの3つのプロダクトを軸に、FFG全体でDXを推し進める体制を整えています。
内製化を進める過渡期に、コアメンバーとして加われるチャンス
──FFGがエンジニアを中心に採用を強化される背景についてお聞かせください。
エンジニア採用を強化する背景には、開発組織の内製化を進めたいという思いがあります。FFGでは2017年にアジャイル開発チームを立ち上げ、内製化開発を進めてきました。2022年にDX推進本部を立ち上げてから、さまざまなデジタルチャネルや営業支援システムに関しても、内製の割合を高めるべく動いています。
これから入社される方には、内製化を本格化するなかでのコアメンバーとして仕組みづくりに取り組んでいただけたらと思います。内製化においては、サービスの企画・開発などはFFG内部で担えるようにしたいと考えています。また、システムを安定的に稼働させるために保守・運用を担うエンジニアや、蓄積したデータを活用するデータサイエンティスト、データエンジニアの存在も重要で、幅広いデジタル人財が必要です。
現在DX推進本部は100名ほどのメンバーが在籍していますが、そのうち半分は金融・銀行業界以外の出身者で構成されています。多様性に富むメンバーたちがブランドスローガン「あなたのいちばんに。」を目指し、尊重し合いながらプロジェクトに取り組んでいます。一人ひとりの異なる経験や視点を生かし、率直に意見を交換しながら新しいサービスをつくっていきましょう。
銀行のあり方を変えていく挑戦は、今始まったばかり
DX推進本部 シニアエキスパート/武田 有史 DX推進本部 シニアエキスパート/武田 有史
DX推進本部 シニアエキスパート/
武田 有史
──武田さんの現在の仕事内容や開発環境について教えてください。
現在は、事業者向けポータル「BIZSHIP」のプロジェクトにおいてテックリードを務めています。事業者向けポータルは、事業者さまの銀行取引に関わる負荷を軽減し、経営課題の解決に寄与することを目的としたサービスで、手続きのオンライン化をはじめ、デジタル通帳やそこに付随した入出金通知と、決算書をもとにした経営診断データの作成・提供を、大きな柱としています。今後は銀行の担当者とチャットやWeb会議で相談できるツールなど、新しい機能をつくっていきます。
私たち開発チームはアジャイル開発を採用しており、1週間を1スプリントとしてプランニングをし、1週間後にスプリントレビューをして、他チームに公開しています。私はプロジェクト全体を回しながら、若手メンバーの教育や他チームとの交渉、プロダクト間の連携などに関わっています。ただ、開発自体も好きなので、時間を取って手を動かすこともあります。

開発環境としては、言語はJava、フロントエンドはVue.js、チームによってはReactやPythonなど、プロダクトごとに自由に決めています。Javaの開発環境はDockerとIntelliJ IDEAで構築しており、ソースはAWS CodeCommitを使って管理しています。業務で使用するPCはMacとWindowsから選択できます。

DX推進本部は、お客さまに新しい機能や価値を届けるために、最新の技術や開発手法を積極的に取り入れています。自ら技術を選択したり提案できたりする環境なので、新しい技術に触れられる機会は非常に多いです。
事業者向けポータル「BIZSHIP」 事業者向けポータル「BIZSHIP」
事業者向けポータル「BIZSHIP」
──2018年に入社されてからこれまで、DX推進本部の環境はどのように変化していますか。
私が入社した当時、DX推進本部の前身組織のメンバーは4、5名でした。それが今では1フロアを埋めるほどに増えています。規模が大きくなったことで、社内に私たちの存在が認知され、これから大きな取り組みに挑戦していけるフェーズにあります。

まさに今は銀行自体のあり方を変えていくチャレンジをスタートしたばかりです。例えば通帳への入出金記録をデジタル化したり、入出金を通知したりすることで、お客さまがATMや窓口に足を運ぶ必要をなくして利便性を高めます。お客さま目線のサービス開発をすることでより多くの方にシステムを使っていただければ、エンジニアとしてのやりがいもさらに大きくなるでしょう。
また、アジャイル開発はお客さまの意見を吸い上げ、システムのリニューアルを繰り返していく開発手法ですが、FFGは各行が長い歴史のなかで築いてきた地域企業との深い信頼関係があり、お客さまの生の声をリアルに聞ける土壌があります。開発したサービスはFFG内の各行のお客さまが利用するものであり、その点でも、アジャイル開発の醍醐味や改善後の反響の大きさなどを感じることができます。
テックリードとしてシステムの変革、組織の仕組みづくりを牽引
──テックリードに求める経験、マインドについて教えてください。
Webアプリの開発経験やスキルは最低限必要ですが、言語に関してはJavaやJavaScript、Vue.jsに限定しているわけではありません。例えばC#の経験を主に積んでいる方であっても、オブジェクト指向ができれば入社後のスキル習熟には時間がかからないだろうと思います。
経験やスキルの他には、コミュニケーション能力を重視しています。アジャイルの特性として、チーム内はもちろん、他部署やユーザーなど、コミュニケーションする機会は非常に多いです。物おじせず、積極的にコミュニケーションが取れる方を求めています。また、新しい技術を導入したり、既存のものを変革したりといったチャレンジ精神の旺盛な方も歓迎します。
入社後のキャリアに関しては、現状は経験を重ねるとマネジメント職に就く傾向がありますが、技術を突き詰めるキャリアパスも制度として整えています。まだ若い組織で、キャリアパスや仕組みづくりに関しても、一人ひとりの意見を取り入れ、自分たちでつくっていけるフェーズにあります。私自身、定年までエンジニアでいたいと思っていますし、若いメンバーと一緒に成長しながら、部全体を盛り上げていきたいと考えています。こうした環境で活躍したい方にぜひ参画していただきたいです。
出典:ビズリーチ 公募ページ「株式会社ふくおかフィナンシャルグループ」(2024年1月25日公開)より一部再編集
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